@article{oai:saga-u.repo.nii.ac.jp:00023010, author = {熊本, 千明}, journal = {佐賀大学全学教育機構紀要 / 佐賀大学全学教育機構 [編]}, month = {Mar}, note = {関係詞は、一般に、目的格の場合には省略が可能であるが、主格の場合には省略できないといわれる(e.g. I liked the woman you invited Ø for dinner last night. / *?I liked the woman Ø came for dinner last night(. Lambrecht 1988:320))。しかし、非標準的構文といわれながら、主格の関係詞が省略された形は、しばしば、話し言葉、書き言葉に現れることが指摘されている(McCawley 1981、1998、Lambrecht 1988、Doherty 1993、2000、den Dikken 2005)(e.g. There’s one woman in our street went to Spain last year. / There are very surprising things happen in this world. / I have one student can speak five languages(. den Dikken 2005:694‐696))。こうした構文を、Jespersen(1961)は、‘subject contact clause’ と呼ぶ。本稿では、Doherty(1993、2000)にならって、‘subject contact relative’(主語接触関係節)(以後、SCR)という語を用いることとし、この構文の意味的特徴、統語的特徴、語用論的特徴を探り、容認度に関わる諸制約を一律に説明することができるかどうか、検討する。 これまでに提案されてきた説明においては、SCR が関係節であるか、主節であるか、という点に注意が向けられてきた。McCawley(1981、1998)は、先行詞との結びつきが弱い、ある種の関係節を、「疑似関係節」(pseudo -relatives)と呼び、主節が表層において従属節に格下げされたものと考える。その上で、SCR はこうした疑似関係節に起こるとする。Lambrecht(1988)は、物語の冒頭に現れ、関係節が主節として機能する提示的関係節構文(presentational relative construction)との類似性を示唆し、SCR 構文は、情報構造上の要請が文法化(grammaticalization)された構文であるとして、「提示的融合構文」(presentationalamalgam construction)と名付ける。den Dikken(2005)は、SCR を主節ととらえ、SCR 構文は、話題を表す最初の節が導入する焦点について、二番目の節がコメントを行うという情報構造が統語化されたものであると考える。これらの議論に対し、Doherty(1993、2000)、Haegeman et a(l.2015)は、SCR が主節ではなく従属節である証拠を挙げ、SCR に対しては、関係詞化による説明が適切であると主張する。また、Doherty(1993、2000)は、SCR の分布に関する制約は、先行詞が指示的であるか否かという点に大きく依存すると、指摘する。 SCR を伴う構文は多様であり、情報構造に注目するだけでは、その特徴を十分に捉えることができない。ここでは、上述の議論を追いながら、それぞれの分析の問題点を指摘し、Doherty(2000)の提案にそって、先行詞の名詞句の指示性という観点から、SCR の容認可能性を考える。SCR が典型的に現れる存在文、所有文、指定コピュラ文の考察においては、非指示的名詞句である「変項名詞句」(西山2003、2013)の概念が重要であると思われる。さらに、Doherty(2000)が示唆するように、形容詞句による後置修飾にもSCR と同様の制約が見られるのかどうか、検討する。, 論文(Article)}, pages = {1--19}, title = {主語接触関係節について}, volume = {9}, year = {2021} }